同作の特徴は、自動車メーカーと提携して「実在の自動車」をゲームに持ち込み、それが走る空間を「ゲームとして/リアルドライビングシミュレーターとして」リアルに再現してきたことにある。25年前、ゲーム機向けとしては初期のリアルタイム3DCGで「憧れのあの車」を走らせるところから始まったシリーズは、現在では自動車産業とも深い関わりを持つ。初代から一貫して同シリーズの開発に携わっている、株式会社ポリフォニー・デジタル 代表取締役...
――ゲームではプレイヤーにとっての「快適さ」が最重要項目だ。どんなに美しいグラフィックになっても、コントローラーの操作で思い通りに動かなければ意味がない。レースに没入できるのも、ゲームの中で「リアルな世界の再現」と「快適な操作性」が共存しているためだ。 PCであろうとゲーム機であろうと、使える演算資源には限りがある。その中で最大の効果を発揮するよう、データを小さくして扱う。しかしそれでも、現在のゲームデータは大きなものになっている。『グランツーリスモ7』を構成するデータは、自動車からコースまですべて含めて100GBぶんあるという。:ビデオゲームというのは、凄まじいリダクション(縮小)の世界。本来我々が作っているデータは、ゲーム内で使っているものから1桁・2桁上のサイズです。
例えば、「グランツーリスモ」の中では実際に存在するサーキットが多数再現されています。これは半分研究目的でもあるのですが、それらのデータを作る際には、現実のサーキットで本当にアスファルトの凹凸までデータ化しているのです。なぜデータをそれだけリアルに作るかといえば、やればやっただけ、ユーザビリティやエンターテインメント性に還元され、品質が向上するからです。 ――「グランツーリスモ」は、CGとしての表現だけでなく、車の挙動のシミュレーションについてもリアルさを追求してきた。ゲーム機に付属するコントローラーでもリアルな走りができるのはもちろんだが、精度の高いレーシングコントローラーにも対応し、現在はeモータースポーツとしてのレーシングイベントも積極的に開催されている。そうしたことに対応できるのも、「やればやるほど品質の向上につながる」という発想があってのものだ。
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