沖縄県石垣市は新型コロナウイルス感染拡大を受け、政府が緊急事態宣言に踏み切った後、観光客などの来島自粛を要請すると6日、発表した。市によると、沖縄本島を含めた島外からの全来島者が対象。市は3月末に体調不良者の来島自粛を呼び掛けていたが、1歩踏み込んだ形だ。

市によると、市内の病院に感染症病床が3床しかないことから「新型コロナウイルスに対する医療態勢が整っておらず、住民や観光客の健康を保証できない」と説明。さらに「来島自粛要請は竹富町と与那国町を含めた八重山3市町村の総意です」としている。

これまでに、石垣市を含めた八重山3市町村での感染者は確認されていない。SNSなどで「南の島は安全」「コロナ避難(疎開)する」といった情報も拡散していた。市のHPによると「緊急事態制限のかかった地域での自粛生活を避けるため、避難生活を求め、多くの方が移動していることを懸念している」と強調。全面的な来島自粛要請の理由の1つは、緊急事態宣言発令の可能性が高い都市部からの「コロナ避難(疎開)」に対する対応だったとも説明している。

石垣市内のある食堂のスタッフは「志村けんさんが亡くなってから観光客が減った気がする」と明かした上で「来島はいいことだけど、今は感染経路が分からなかったり、自覚症状がない人がいるから、うつらないか心配だし、こわい。それに今の時期は花粉症の人も多いから、見分けがつかない」と危機感を示した。市の来島自粛要請については「しょうがないと思う」と淡々と受け止めている。【近藤由美子】