サムスン営業益2.7%増 1~3月、半導体堅調
【ソウル=細川幸太郎】韓国サムスン電子が7日発表した2020年1~3月期連結決算の速報値は、営業利益が6兆4000億ウォン(約5720億円)と前年同期比2.7%増えた。半導体メモリーの値上がりや、為替がウォン安に振れたことが寄与した。ただ新型コロナウイルスの感染拡大に伴う消費低迷で「4~6月期の不確実性は高まっている」(韓国証券会社)との指摘が目立つ。
半導体の販売額が伸びたことで売上高は前年同期比5.0%増の55兆ウォンだった。1~3月期の純利益や事業別の収益は、4月末に発表予定の確報値で公表する。
韓国の証券アナリストの直近の予測では、1~3月期の営業利益は5兆5000億~6兆ウォン程度とみられていた。7日発表の速報値は市場予想を10%ほど上回った。決算発表を受けて、7日の韓国取引所では同社株が一時、前日終値比で3.1%上昇した。
半導体需要は持ち直しつつある。感染症予防で世界的に外出規制が広がり、在宅勤務やオンライン授業の普及に伴いデータ通信量は急激に増加している。米国や中国を中心にデータセンターの設備投資が活況だ。市場では「半導体市況は改善傾向」(韓国証券アナリスト)との見方が多い。最先端の半導体メモリーを手掛けるサムスンの業績を支えた格好だ。
半面、新型コロナの流行による世界的な消費の低迷が4~6月期以降の業績に影を落としそうだ。半導体とともに2本柱のスマートフォンの販売は、4~6月期も低迷が続く見通しだ。
サムスンは米アップルや中国ブランドのスマホに半導体メモリーなどを提供する。スマホの販売不振が続けば、半導体やディスプレーといったデバイス事業に業績の下押し圧力が広がる可能性がある。