看護師、世界で590万人不足 WHO報告
【ジュネーブ=細川倫太郎】世界保健機関(WHO)などは7日、世界で看護師が約590万人不足しているとの報告書をまとめた。看護師が不足している国では、資格取得者を年平均8%増やす必要があると分析する。新型コロナウイルスの感染拡大で医療ニーズが急増するなか、看護師の確保は大きな課題となっている。
報告書によると、世界の看護師数は約2800万人で、医療従事者の59%を占める。ただ世界人口の半分を占める国々に8割以上の看護師が集中しており、東南アジアやアフリカなどでは不足が目立つ。さらに6人に一人は今後10年以内に退職する見通しだ。
報告書は看護師の増加に向け、教育などのために人口1人当たり10ドル(約1100円)のコスト負担が必要とした。看護師は約9割が女性なのに、保健医療の職場で上級職に就いている女性がほとんどいないことも問題視した。各国に看護師がリーダーシップを発揮できる場を増やすと同時に、より多くの人材の育成や雇用の拡充を求めた。
またWHOのテドロス事務局長は6日の記者会見で、医療用マスクが看護師らに行き渡っていない現状に強い危機感を表明した。「何よりもまず最前線にいる医療従事者のために医療用マスクが優先されなければならない」と強調し、一般市民が医療用マスクを使用することを控えるよう求めた。各地の病院でマスクやゴーグルが不足しており、医療従事者が新型コロナに感染する事態が相次いでいる。
6日の会見には米人気歌手レディー・ガガさんもネット中継で参加。新型コロナの患者の治療にあたる医療従事者に謝意を示す目的で、18日にネットで視聴できる中継コンサートを開くと発表した。ビートルズ元メンバーのポール・マッカートニーさんら多数の著名歌手が参加する。