東京都内で確認されている新型コロナウイルスの感染が屋形船の新年会で拡大した可能性が強まり、運営業者は営業を自粛し、他の業者にはキャンセルが相次いでいる。業界からは「仕事にならない」と悲鳴が上がり、書き入れ時の花見シーズンを控えて影響の長期化を懸念する声が上がる。
新年会が開かれた屋形船を運営し、参加者と従業員の中で10人超の感染が判明した都内の業者は営業を自粛している。業者関係者によると、新年会3日前の1月15日に中国からの団体客を接客した。感染した従業員は当時、「武漢から来た」と聞いた。
団体客を紹介した代理店からは「団体客に感染はなかった」と説明を受けたという。この関係者は「迷惑をかけて申し訳ない気持ちはあるが、誰が被害を受けてもおかしくない。本当にこの屋形船から広がったのか調査は必要だし、国には水際対策をもっと徹底してほしかった」と述べた。
「6月の予約にまでキャンセルが入っており、今月はほぼ仕事にならない勢いだ」。都内で屋形船を運航する別の業者の担当者は頭を抱える。
今年は東京五輪・パラリンピックの影響で東京湾内で景観が良い台場エリアの航行ができず、業界内ではもともと売り上げの減少が懸念されていたという。
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の集団感染が明らかになって以降、団体予約のキャンセルが始まっていたといい、担当者は「今回は頭を悩ませてたところに追い打ちをかけられた状態。4月の花見シーズンは半ばあきらめているが、夏ごろまで影響が長引かないか心配だ」と不安げに語った。
屋形船東京都協同組合は手洗いの徹底やマスク着用、船内の消毒を実施するよう組合員に通知を出している。